K中間子原子核探査実験 More detail in English
LOGO ヘリウム中にK中間子を静止させ超々高密度物質を作る!!
ーー 星を創ろう! ーー

Physics

  • プレスリリース用OHP (Mac-only) (1004/8/24)
  • プレスリリース用OHP (1004/9/01)
  • 密度が上がって「軽くなる」のはどうして? (1004/8/25)
  • 一般的に、原子核は陽子と中性子(核子)のみから出来ています。 それ以外では、Λ粒子を持つ原子核が人為的に つくり出され研究されて来ました(ハイパー核)。 Λ粒子は3つのクォークからなる、重粒子(バリオン)と呼ばれる 核子の仲間です。 それでは、クォークと反クォークからなる 中間子は原子核の構成粒子とは成り得ないのでしょうか? 我々のGSIでの実験で、π中間子は、原子核の中にも存在しうることが 見い出されました。また、s波で斥力的なので、安定に存在します。 一般に、π中間子は湯川以来、原子核内で核子を つなげる糊の役割を果たすものとして知られ、そのために原子核近傍に π中間子がくるとすぐに解けてなくなると信じられて来ました。ところが、 事はそう単純ではありませんでした。
     一方、我々のKEKでのK中間子原子実験によると、この相互作用は極めて強い 引力であることが分かりました。それでは、原子核にK中間子を入れると どのようなことが起こるのでしょう?
     最近の、赤石・山崎・土手等の最近の計算によると、 あまりに強い引力なので、自身の周りに他の核子を強く引き付け そのために強い束縛エネルギーをもち、 通常の原子核よりさらにコンパクトで密度の高い状態を形成されることが 予想されました。図左は通常の原子核(ヘリウム3)で、中央はヘリウム3に K中間子が1つ入ったもの、右が2つ入った物です(土手による計算)。

    何と1つK中間子が入ると、中心密度がおよそ10倍になり、2つはいると 20倍にまで達することが分かります。
    本当にこのような中性子星中心密度に匹敵するような 超々高密度物質が安定に出来上がるのでしょうか? また、このような超々高密度物質の中では、 粒子に質量すら変化すると予想されています。 そうだとすれば、このような実験研究は質量の起源の 謎に迫る事になると考えられます。
    このような状態を、いち早く見つけるために、K中間子を ヘリウム中に止め、そこで生成される単色の中性子から この状態を特定する研究が進んでいます。